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プラスチックの物性評価法

5-1.物理的性質

比重

比重とは同温、同容積の水と物質との質量の比をいいます。各種プラスチックの比重は、0.83~2.1程度で、最も軽いのはポリメチルペンテンの 0.83、最も重いものはPTFE(四フッ化エチレン)の2.1です。平均的には1.1程度で鋼の約1/7程度と軽いことが大きな特徴です。

吸湿性

プラスチック材料を長時間にわたって水中に浸漬しておくか、あるいは湿度の高い雰囲気内に放置しておくと、その材料の種類により大小の相違はあるがいずれも水分(湿気)を吸収してその重量を増し、また一般にそのときの温度が高いほどこの傾向は促進されます。このような性質を吸水性または吸湿性とよび、一定時間後における試料の単位重量あたり、もしくは単位表面積あたりに増加した重量をもって吸水率と定義して、パーセント(%)などをもって表わします。

5-2.光学的性質

透明度

物体に入射する光は、一部は物体表面で反射され、他の一部は物体内で吸収され、残りは透過光となります。透明度は透過光の大きさの度合いで表し、全光線透過率と平行光線透過率とがあります。ASTMではプラスチックの透明度にD-1003及びD1746-1970で全光線透過率に相当する透過率及び散乱率を用いています。透過率が高いプラスチックには、アクリル樹脂(93%)やポリカーボネート(89%)があげられ、その成型物は極めて美しく、レンズやディスクなど光学部品に用いられています。

屈折率

屈折率の測定はASTM D542-1950にAbbeの屈折計による方法を規定しており、プラスチックにおいては、1.338(フルオロカーボン樹脂)~1.586(ポリカーボネート)の範囲を示し、水晶で1.55、鋼玉1.768、ダイヤモンドで2.417です。

5-3.熱的性質

熱伝導度

物体内部の等温面の単位面積を通って単位時間に直角に流れる熱量とその方向における温度こう配との比を熱伝導度といいます。プラスチックの熱伝導度は金属に比べ一般に低く、最低のポリプロピレン1.3×10-4cal/s/cm2/(℃/cm)から最高の高密度ポリエチレン12.4×10-4cal/s /cm2/(℃/cm)までの範囲にあり、石英ガラスの33.1×10-4cal/s/cm2/(℃/cm)、普通磁器の30~41×10-4、銅の 0.941cal/s/cm2/(℃/cm)に比べると著しく小さい。

比熱

比熱、正確には比熱容量とは物質の熱容量を表す尺度で、単位質量の物質を単位温度だけ上昇させるのに要する熱量で表し、実用単位として(cal/℃・ g)が用いられています。プラスチックの比熱は、最低の三フッ化樹脂の0.22(cal/℃・g)から最高のポリエチレン又はアイオノマー樹脂の 0.55(cal/℃・g)の狭い範囲にあり、ガラスの0.185(cal/℃・g)、フェライトの0.17(cal/℃・g)より大きいものです

熱膨張係数

温度の上昇によって物質の体積が増大する程度を表すのが熱膨張係数ですが、長さで表す線膨張係数αと体積で表す体積膨張係数βとがあり、全く等方的な固体ではβ=3αの関係があります。プラスチックにおける線膨張係数は温度1℃当たりの長さ変化率で表し、最低の値を示すフェノール樹脂 (2.5~6.0×10-5℃-1)、PPO(5.5×10-5℃-1)から最大の低密度ポリエチレン(10.0~20.0×10-5℃-1)までの範囲にあります。

熱転移点

プラスチックは温度の変化によって相(phase)が転移するところが2箇所あります。すなわち、ガラス転移点と融点です。前者は非晶性プラスチックで顕著に表れ、この温度以上で分子鎖内のセグメント運動が可能となり、分子の変形が著しく自由となって、ガラス状からゴム状に転移し、伸びは大きく、変形抵抗は著しく低下します。後者は結晶性プラスチックで著しく表れ、この温度以上で結晶はなくなり、溶融状態となる点で、温度降下のときは、この温度直下で結晶化、固化して著しく体積が縮小し、また全体的に硬くなります。

荷重たわみ温度

試験片の中央に一定の曲げ荷重(0.45MPaまたは1.82MPa)を加え、等速度で昇温させ、中央部の引張りひずみが0.2mmに達したときの温度をいいます。短期耐熱性をみるひとつの目安であり、熱変形温度とも呼ばれています。

5-4.電気的性質

電気抵抗

物体に電位差(V)で電流(I)が流れるとき、R(=V/I)を電気抵抗又は単に抵抗といいます。一般にプラスチックの体積抵抗率は108Ω・cm以上の電気抵抗をもつ絶縁体ですが、この値は物体の形状、電圧の与え方及び環境などによって一定ではありません。したがって、その実用的見地から絶縁抵抗・体積抵抗・表面抵抗の3種の抵抗が規格化して用いられています。絶縁抵抗とは、二つの電極間に印加した直流電圧を電極間に流れる全電流で除した数値で、試験片の体積抵抗及び表面抵抗の両方が含まれます。この値を測定するのには、直流電圧500Vで一定の試験片を用い、20℃、65%RHのもとで測定します。体積抵抗とは二つの電極間に印加した直流電圧を、電極間に挟んだ試験片の単位体積を通る電流で除した数値をいいます。なお、実用的数値として体積抵抗率 (Ω・cm)を用い、プラスチックは最低のフェノール樹脂の1011Ω・cmから最高の四フッ化樹脂の1018 Ω・cmの範囲にあります。表面抵抗とは、試験片表面の二つの電極間に印加した直流電圧を、表面層を通って流れる電流で除した数値をいいます。

絶縁破壊強度

絶縁体であるプラスチックも、著しく高い電位差では電流も大きくなり、材料の破壊を生じることになります。絶縁破壊強度とは、規定された試験条件のもとで、試験片が破壊される最小実効電圧(破壊電圧)を2電極間距離(試験片の厚さ)で割った値をいい、一般にMV/mm単位で表します。プラスチックは最低のフェノール樹脂の11.8MV/mmから最高のポリプロピレンの30MV/mmまでの範囲にあります。

誘電率

誘電率とは、単位電界において、単位体積中に蓄積される静電エネルギーの大きさを示します。この値は周波数並びに吸湿、環境にも影響されますが、プラスチックでは106Hzで最低の四フッ化樹脂の2.1から最高のポリアミド6の4.7までの範囲にあります。

誘電正接

誘電回路に正弦波電圧(E)が加わると、理想的なコンデンサのときはEと電流(I)との位相差角は90°となりますが、実際の誘電体においては位相のずれた電流が流れます。この位相差角の余角の正接を誘電正接といいます。この値は材料により、加圧周波数、環境などに影響されますが、プラスチックでは、常態で106Hzに対して、最低のポリスチレンの0.0001から最高のポリアミド6、エポキシ樹脂の約0.03の範囲にあります。この値は高周波回路の誘電損失の原因ですが、材料の高周波加熱のときには有効な特性値です。

耐アーク性

絶縁破壊強度の高いプラスチックでも、高電圧で長時間使用していると、部分放電による劣化が生じます。この放電劣化の抵抗性を表すのが耐アーク性です。

5-5.機械的性質

引張特性

材料に純粋に引張外力だけがかかることは少ないですが、引張外力はいずれの部分にも均一な引張応力が生じるため単純な応力分布状態となり、また材料は引張応力がある限度以上になって破損する場合が多いので、引張特性は代表的な機械的性質として取扱われています。引張強さは、降伏又は破壊時の最大引張荷重を試験片の元の最小横断面積で割った値をいい、Mpaで表します。引張伸びは、試験片の破壊時の平行部標点間距離から元の標点間距離を引いたものを、元の標点間距離で割った値をいい、%で表します。

曲げ特性

物体に曲げ外力が作用したときの材料の挙動を曲げ特性と呼びます。

硬さ

硬さに対する厳密な物理的定義はありませんが、一種の非破壊試験ですので、材料を破壊せず簡単に測定できることから、実用的に硬さはしばしば用いられ、便利な尺度となっています。プラスチックの硬さ測定の規格としては、ロックウェル硬さが一般的です。プラスチックに用いるロックウェル硬さはHRは、押込圧子は鋼球で、基準荷重Poをまず加え、そのときの凹み深さを基準として、更に試験荷重Pを一定時間(ASTMでは15s)かけた後、基準荷重に戻したときの塑性くぼみの深さh(mm)を測定して次の式から求めます。HR=130-500h。ただし、鋼球の径と荷重の種類によって各スケールのロックウェル硬さがあり、JISではMスケールとRスケール、ASTMでは、K/E/L/M/Rの5スケールが規定されています。

衝撃特性

材料の力学的強さは、荷重をゆっくり増加して測定する静的強さと衝撃的にかける場合の強さ、すなわちじん性又は衝撃強さとでは必ずしも同じ傾向を示しません。このような材料のじん性を測定する原理は、材料に衝撃的な荷重を加えて破壊し、その破壊に要するエネルギーで表します。アイゾット衝撃値はその代表的な試験方法であり、振子形のアイゾット衝撃試験機を用い、片持はり試験片に衝撃曲げ打撃を加え、1回の打撃によって破壊するに要したエネルギーを試験片の幅で割った値をいいます。

クリープ特性

一定の状態で一定の応力が継続的にかかるときの材料の挙動をクリープといいますが、この場合次の二つの特性を示します。1.経過時間とともに変形量が増大する。2.経過時間とともに破壊応力が低下する。すなわち、1.は荷重時間の短いときには変形量が少なくて問題にならなくても、荷重経過時間が長くなると相当大きな変形、特に塑性的な変形をして使用に耐えられなくなり、2.は静的強さ以下の応力に対しても荷重時間が長くなると破壊することを指しています。

疲労特性

物体に応力又はひずみが繰り返しかかる場合、その材料が弱化して破壊が促進される挙動を、材料の疲労といいます。すなわち、材料にかかる応力が1回だけのときは、静的強さより小さい応力では破壊は生じませんが、繰返し数が多くなると静的強さより相当小さな応力でも破壊することが多くなります。プラスチック材料をこのような条件で用いる場合には、この疲労挙動が明らかではないと、破壊に対する安全性が確保できません。

摩擦・摩耗特性

プラスチックの表面が互いに接触している場合、両者間に相対運動が生じると、その運動を妨げようとするのが摩擦であり、表面から材料が摩滅していくことを摩耗といいます。